さて、南沙織は当時アイドルビジネスの王道ではなかったコンサートを数多く行ったアイドルでもありましたが、70年代のアイドルはまだオリジナル楽曲、いわゆる持ち歌が少なく、アルバムでもコンサートでもカバー曲を取り入れていました。
同じ事務所の先輩の歌やフォークの名曲、当時まだ珍しかった外国のヒット曲などでしたが、彼女は英語のバイリンガルでもあったので外国曲に関しても他のアイドルとは楽曲のレベルが違いました。
もっとも当時はアイドルならずとも外国曲を日本語歌詞にして歌うことが多かってのですが、サビの部分でオリジナル歌詞になるとあらら(もろカタカナ読み)・・・という事がほとんどでした。
そういえばシングル「哀愁のページ」のイントロでは彼女の流暢な英語のセリフを聴くことができます。
彼女のことをただのアイドルだと思えない理由としては、内面的な落ち着きと自然と培ちかわれたであろう信念がごく普通にこちらに伝わってきたこと、売れたい、前に出たいみたいなところがなく、心の余裕のようなものを感じられたのも大きいかなと思います。
日本歌謡大賞新人賞の受賞曲を歌ったときの姿、同年代の女性と並んだときの仕草、インタビューや質問への発言、どれをとっても地に足がついていてフワフワとしてないものを感じられたのです。
また実際に拝見できる機会は残念ながら無いのですが、おそらく年齢を重ねても年相応の美しさを持ち合わせている方のような気がします。
潔く芸能界を引退したことも家庭を大切にされてたことも含め人間的にも共感するところがあります。
冒頭で、あえて本来の意味でのアイドルは別として、などと書きましたが、本来の意味からしてもその名にふさわしい、自分史上最強のアイドルと呼ばせていただきます。
初めに「3組は同レベルのベスト3」といったにもかかわらず・・・。