シンガーソングライター(Part1) Vol.7

  逆に、アリスのドラム矢沢透さんがその昔、「僕の好きな音楽はソウルとか黒人音楽なのに自分から出てくる曲はこんなものです」といってスローテンポの可愛らしい曲を披露したことがあるように、自分では大好きなジャンルや曲があっても実際は真逆の作品ができたりするものだったりします。
  でも、その曲はそもそも持っている自分の中のリズムでありメロディーなのでしょう。

  自分の好みの曲にしたいというのであればその方向をよく知っているアレンジャーと組むことによって近い曲の方向に向かわせることができます。小室哲哉さんの曲の作り方はそこに近いのかな、と思います。

  話が少しずれましたが吉田拓郎さんが「若い頃は曲がいくらでも出てきた。
  今は悶え苦しんでも出てこない」と言っているのを聞いたことがあります。

  自分がお気に入りのシンガー・ソングライターを振り返っても、例えば10年以上聴き続けていると、聴きはじめた頃に感じていた楽曲へのワクワク感が薄まってきたのか、リリースされる曲に魅力を感じづらくなってきて「またデビュー当時の曲みたいなの作ってくれないのかな」なんて思ったりしませんか? 

  そしてある人は惰性のように聴き続ける、またある人は新しいお気に入りのアーティストを探し始める。

  一方で初めからのファンが少しずつ冷めていく中で、最新曲からファンになったと言う人も現れたり。
  華々しくシンガーソングライターとしてデビューできたとしても、いつまでも最前線を走り続けたいとしても、それを何年も続けることは極めて難しいのです。